あなたのお友達はどんな人ですか?


あなたにとってお友達とはなんですか?







私にとってはなくてはならない大切な人達だと思います。





























届けたい気持ち
































瑠璃「あはははっ!」


亜麻音「勝手に勘違いでもしてって感じだよね」


瑠璃「まさに傑作だわ!!」


亜麻音「嘘はついてないもーん」


瑠璃「確かに!」












学校の帰り道―・・・



いつものように瑠璃は友達と一緒に歩いていた。

亜麻音とはクラスも部活も一緒で当たり前のようにいつも一緒だった。

歩きながらの何気ない会話を交わす毎日は瑠璃にとって凄く楽しいものだったのだ。

毎日の学校生活は面倒であるけれど、友達との会えることに楽しみを感じていた瑠璃はとても充実しているものであった。




当たり前のように隣には友達がいる―・・。




凄く嬉しいことだと瑠璃は感じていた。

それゆえ“宝物は?”の項目には「家族・お友達」と記入は当然。

ベタだと感じながらも本当に思っていることなんだ仕方がないというのが瑠璃の意見であり、それほど友達がいることに感謝をしていたのだ。






















瑠璃「あっ!そうそう、亜麻音はうちの“あんず”見たことあったっけ?」


亜麻音「あんず??!」


瑠璃「うち、ミニチュアダックスいるんだよ」


亜麻音「えぇ!!初耳なんだけど!何で教えてくれないんだよー」


瑠璃「ごめんごめん。もう話した気でいた・・・あっ!見てく?」


亜麻音「えっいいの?嬉しい!!」


瑠璃「凄い可愛いから!!」






二人はそんな会話をしながら瑠璃の家へと向かった。















玄関の前に着くと瑠璃は庭の方へと入っていき、庭からリビングの窓を開け





瑠璃「あんず、おいで!!」





すると、その声の後に家の中からカツカツという音が勢いよくこちらへ向かってきた。

そしてしばらくするとまだ小さく可愛らしい1匹のワンちゃんの姿がみえた。




亜麻音「あんずちゃん?!」


瑠璃「そうだよ。可愛いでしょう」




そう言って瑠璃は亜麻音にあんずの顔をみせるように抱きかかえた。

目がくりっと大きく、赤茶の毛がとても印象的な犬であった。




亜麻音「可愛いー!!触ってもいい?」


瑠璃「もちろん!」


亜麻音「わぁ!!」





亜麻音は恐る恐ると手を出しながら、あんずの頭を撫でた。

その日、瑠璃と亜麻音はそれからしばらくあんずを囲み遊んでいた。


















しかし数日後―・・・

瑠璃が家に戻り、いつものようにあんずの名前を呼んだのだが、あんずは瑠璃の元へと来なかった。




瑠璃「あんず?・・・あれ、どこいったんだろう?」





瑠璃は家中を探し回った。しかしあんずの姿は見つけることができなかった。






(お母さんと散歩でも行ってるのかな?)







帰ってきた後すぐにあんずを見れないのを寂しく思いながらもあんずの帰りを待った。





するとそこへ玄関からお母さんが入ってきた。

玄関のドアが開く音がすると瑠璃はすぐさま玄関に向かった。






母「・・・・・・・」


瑠璃「おかえり」


母「あ、ら・・・帰ってきてたのね」


瑠璃「うん。ねぇあんずは?散歩行ってたんじゃないの?」





すると母の表情が重々しくなり、少し涙ぐんでいるようであった。




瑠璃「どうしたの?」





瑠璃は不思議に思いそう言うと、母の口から信じられない言葉が出てきた。




母「・・・瑠璃、よく・・・・よく聞きなさいね。実はさっき・・・・」































瑠璃はその日から自室から出てこようとしなかった。

食事も食べず、ただただベッドに潜り泣き続けた。





瑠璃「・・・・っ・・嘘・・・・嘘に決まってる・・・・・・っ・・あん・・ず・・が・・・」

















母「実はさっき・・・・亡くなったの」


瑠璃「・・・・・・え・・」


母「お散歩中にね、いきなり大きな犬に襲われて・・深く噛み付かれて、すぐ病院に行ったんだけど・・・」


瑠璃「・・・ははっ、い、いやだお母さん・・・そんな嘘」


母「瑠璃・・・・・っ・・」


瑠璃「・・・あ、あんずが・・・し・・死ぬなんて・・・っ・・そん・・なはず・・」











瑠璃「あ・・んず・っ・・・・・・ひっ・・・・く・・」




瑠璃はひたすら泣き続けた。

泣いてもどうにもならないことも知っているが、いきなり突きつけられた現実を理解できず泣くことしか出来なかったのだ。


























ピーンポーン―・・・







それから数日後瑠璃の家の呼び鈴がなり瑠璃の母が玄関のドアを開けると、そこには亜麻音の姿があった。





亜麻音「こんにちは」


母「亜麻音ちゃん、どうしたの?」


亜麻音「瑠璃・・最近ずっと休んでるからどうしたのかなと思って・・・」


母「あ、あぁ・・心配してきてくれたのね」


亜麻音「瑠璃・・体調でも悪いんですか?」


母「・・・・・・この前、あんずがね・・・・」



























その日、亜麻音は瑠璃のお母さんから全てを聞いた。

あんずのこと、それからの瑠璃の様子・・・。

亜麻音自身も今聞いたことを信じることが出来なくてただ驚くだけであった。


つい数日前はあんなに元気だったのに・・・そう思わずにはいられなかった。

瑠璃に会おうと思い家まで来たのだが、その日は自宅へ引き返した。

とても会える状況ではないと判断したのだ。





今の自分に何が出来るんだろう・・・


瑠璃に何がしてあげられるんだろう・・・





そんなことを考えても全く考えが浮かばなかったのだった。


























次の日―・・





まだ部屋に籠もりきりの瑠璃の携帯がなった。

瑠璃は泣きすぎたせいか疲れきった表情のまま携帯をみると亜麻音からのメールが入っていた。









“昨日おばさんに聞いたよ。私、瑠璃の気持ち全部わかってあげられないけど・・一人で抱え込むなよ♪”








瑠璃は携帯を閉じ、また目を潤ませた。

亜麻音の優しさが十分に伝わってきたのだった。






心配してくれている友達がいる。


いい加減、元気にならないといけないこともわかっている。


でも気持ちは沈んだままで、何をする気にもなれない。





そんな気持ちの矛盾に瑠璃は自分を責めた。

今の瑠璃は自分で自分をコントロールできなくなっていたのだ。










しかし、それからというもの瑠璃の携帯には亜麻音からの連絡が途絶える日はなかった。

いつも瑠璃を元気付けてくれていたのだ。

励まし、助言、ただくだらない話をするだけの時もあった。



“嬉しい事があったんだよ!?”

“今日は○○へ行ってきたんだ!”



毎日の何気ないことの報告でもするかのように話をしてくれていた。

するとそれらの言葉が瑠璃の支えになり、あんずの死に目をそらすだけだった瑠璃を少しずつ前向きに、少しずつ立ち直らせていったのだった。


瑠璃は学校へも行けるようになり、またしばらくすると笑顔も戻ってきたのだった。








































数週間後―・・・






瑠璃「あはははっ」


亜麻音「こらぁ!笑うなよ!!」


瑠璃「だって〜くくっ」


亜麻音「ただ間違えただけだって!!スプーンとフォークを・・・」


瑠璃「だとしてもカレーをフォークって・・・ははっ」


亜麻音「だからぁ!!」








学校からの帰り道、瑠璃は今までと変わらなく過ごせるようになった。

瑠璃が塞ぎこんでからの数週間、ずっと亜麻音は瑠璃を気遣い隣でいつも支えてくれていたのだった。

瑠璃もそんな亜麻音に頼りながら笑顔を取り戻せたのであった。



しかし、この会話のあと瑠璃は大きな衝撃を受ける事になった。













瑠璃「そういえばさ!亜麻音、今井くんとはどうなってるのさ?」


亜麻音「あぁ、話してなかったっけ?」


瑠璃「え?何??!」



亜麻音「ちょっと前に別れたんだ!」


瑠璃「えっ!!!ちょ、な、何?別れたって?!えっ、だ、だって・・・」






亜麻音のいきなりの発言に瑠璃は目を見開いて立ち止まってしまった。

亜麻音と今井くんはもう2年の付き合いで、瑠璃からみてもうらやましいほどのカップルだったのだ。

ついこの間までは一緒にデートした話も聞いていた瑠璃にとって、軽々と亜麻音の口から出た言葉は信じられないものであった。






亜麻音「何か好きな子出来たみたい。やっぱね・・離れてると駄目だよね!」


瑠璃「そ、そんな・・・だって・・・・」


亜麻音「まぁ、私の中ではもうきっぱりとけじめつけられたからさ!瑠璃もそんな顔しないでよね!!」






そういうと瑠璃の肩をバシッっと叩いて家路へと前に進んで歩いて行った。

瑠璃はその亜麻音の姿を訳がわからないとでもいうように追った。

そして亜麻音の前に立ちふさがると




瑠璃「ちょっと亜麻音!!いつ?いつそうなちゃったの?!」


亜麻音「・・・えっと、たぶん1〜2週間前かな?」


瑠璃「えっ・・・!!」


亜麻音「もう泣くだけ泣いて整理ついたから大丈夫だって!ほらっ行くよ!」







亜麻音はにこっと瑠璃に微笑むとまた歩き出した。

しかし瑠璃はその場から動けなくなってしまったのだった。









(1〜2週間前って・・・私があんずをひきずってた頃だよ??!)






(あの時は亜麻音も傷ついてたってこと・・・・?!!)






(私、何も気付けなかった・・・・・)






(亜麻音は自分が悲しい時でも私を元気にさせようとしてくれてたの・・・??)




















亜麻音は瑠璃を元気付けようとする一方、自分のことは心配させまいと隠していたのだ。


いつも自分のことで精一杯で周りを見ることが出来ない自分を瑠璃はまた責めた。

しかしそれと同時に亜麻音がそんなまでして自分を元気付けてくれていたことに感謝の気持ちがとまらなかった。

亜麻音の優しさが涙が出るほど伝わり、嬉しかったのだ。



瑠璃は亜麻音を追いかけ、亜麻音の腕をつかんだ。





亜麻音「!!!?」


瑠璃「ありがとね!」


亜麻音「瑠璃・・?!」


瑠璃「ありがとう!」













瑠璃の目は潤んだままであったが、その表情は喜びが溢れているかのように笑みがこぼれていた。
















































ねぇ亜麻音。










私ね、


感謝してもしきれないよ?







自分より周りの人。







自分は隠してでも相手を思いやる心を持ってるよね。






いつだって肝心な時は隣にいてくれて助けてくれる。









ただ傍にいてくれたりでも・・・


ただ声をきかせてくれたりでも・・・




何をしてくれるんじゃなくても笑顔にさせてくれる。






周囲の人を気づかってくれて、小さなSOSも逃さない。








あなたのそんな気づかいがとても支えになってるなんて知らないよね。





あなたの存在がとても大きいものだなんて知らないよね。












一つの言葉


涙が出るくらい嬉しいんだよ?
















私なんかに溢れるくらいいっぱいの思いやりをありがとう。




















ありがとう。
































































あなたのお友達はどんな人ですか?



あなたにとってお友達とはなんですか?



私にとって・・・












なくてはならない


失ってはならない


自分の笑顔を作り出してくれる大切な存在だと思います。




























実話ではありません(かすったりもありません)が、前々から考えていた作品です。

そしてある方々(約名)に贈る小説です。
そのある方々の一人はきっとこの小説みた時点で「あっ!」とお気づきになることでしょう。
他の人はきっと見れないだろうな。


今年はお友達の大事さや大きさがホントに実感出来る年だったからこそ書きたかったのです。
なくしちゃいけない人たちだと思います。
感謝の気持ちを表せないけれど、少しでも何か伝わるように・・と願いながら☆
感謝の気持ちをこの小説に。







(2007.11.5)